「行動」を抜き出すとは?
できごとの一連の流れの中から、「行動」にあたるものを書き出すこと。
例えば、「子どもとスーパーに買い物に行くと、いつも途中で大泣きし始める」という困りがあったとします。
このエピソードにおける行動は「泣く」となります。
これが行動を抜き出すということです。
「行動」を抜き出す必要性は?
前の投稿で書いたように、できごとの分析をする上で、「きっかけ/行動/結果」の3点から分析するために、まずは分析対象となる「行動」を明確にする必要があります。
困っていること、なかなかうまくいかずに悩んでしまう場面について、改善に向けて検証するには、「行動」を抜き出すことがスタートになります。
「行動」を抜き出すポイント
「行動」の定義は【目で見て確認できる】ということです。
行動分析学上では「死人テスト」と言われるのですが、行動は死人にはできないため、死人にでもできることは「行動ではない」とされています。
「行動」ではないもの
▼否定形で表せること(〜しない、〜できない など)
▼受け身で表せること(〜される など)
▼状態(座っている、目を閉じている など)
具体的に書くと
【行 動】…歩く、手を伸ばす、座る、声を出す、おもちゃで遊ぶ など
【非行動】…食べない、叩かれる、話を聞かない、寝ている、〜を持っている など
上記のポイントを意識して行動を抜き出すと、行動分析ができます🙆♀️
場面から行動を抜き出してみよう
※困りのテーマは、あえて親御さまからよく相談のある内容を用いています。「言うこと聞いてくれない」などの漠然とした悩みも、以下のように行動を書き出してみると、具体的になって、どこが困りなのかが見えてくるので、漠然とした表現にしてます!
困り① お菓子ばかり食べて、ご飯を食べない
誤:Aご飯が出てくる
B食べない
C食べなくて済む
➡︎行動が否定形になっている
正:Aご飯が出てくる
B顔を横に背ける
C食べなくて済む
➡︎これは行動です
解説:
他にも考えられる行動として、テレビを見る、「食べたくない」と言う、おもちゃのある部屋へ行く、お皿を手で払いのけるなどもあるかもしれないですね。このように、具体的に何をしているかを抜き出すのが肝心!!また、「お菓子ばかり食べる」という点は、別場面のことなので、この場においては含めないが、別途「Aお菓子が出てくる」に対して「B食べる」と言う行動が繰り返し起きているということを比較対象として分析に含めるのは大事なことだと思います⭐︎
困り②常に手伝ってもらっている
誤:A着替えようとしない
B手伝ってもらう
C着替えが完了する
➡︎受け身になっている
正:A着替えを促される
B着替えずに周りを見る
C先生が着替えさせてくれる
➡︎これは行動
解説:「手伝ってもらう」というのはあくまで結果で、具体的に何をしているのか着目する必要があります。これは例ですが、「着替えずに周りを見ている」とわかれば、次はその要因を探る段階に入ることができます。「周りを見る」という行動であれば、「着替える」という指示が理解できていない、着替えの場所がわからないなどが考えられ、要因によって手立てが変わります。また、行動が「袖に首を入れる」「ボタンをかけている途中で服を床に置く」であれば、着替えるのに必要なスキルが不足しているのかもしれないですし、「着替えずにおもちゃで遊んでいる」などであれば「遊びたい」という気持ちが先行していることが要因かもしれないです。
困り③ 言うことを聞いてくれない
誤:Aお風呂に入るように促される
B寝転がっている
Cお風呂に連れて行かれる
➡︎状態になっている
正:Aお風呂に入るように促される
B寝転がったまま窓の外を見ている
Cお風呂に連れて行かれる
➡︎これは行動
解説:
状態のままだと、本人がなぜそうしているのかが見えてこないですが、具体的な行動として書いてみると、「窓の外」に何かポイントになることがあるのかも?ということに気がつけます!もしかしたらある程度見たらお風呂に向かうかもしれないし、初めから窓の外に何もなければすぐにお風呂に向かうかもしれないですね。
手立てについては、また別の記事にまとめていきたいと思っています。
まとめ
このように、行動の分析をするためには、とにかくまず、「何をしているのか」ということをしっかりと観察して、書き出すことが大事ですね♪
そうすることで、普段から「なんでこんなことしてんだろう」と観察するのが面白くなってきます(笑)
おしまい
コメント